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山口県熊毛郡平生町平生村765-2

平生町の小児科、アレルギー科、ひらおこどもファミリークリニック

病気のお話

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気管支喘息

まずは気管支喘息の「診断」について話をします。
気管支喘息の定義は「発作性に起こる気道狭窄によって、喘鳴・呼気延長・呼吸困難を繰り返す疾患」「気道狭窄は気道の平滑筋収縮、粘膜浮腫、分泌亢進が主な成因」です。分かりやすく言うと、風邪などをきっかけに気管支がむくみ、分泌物が多くなることで空気の通り道が細くなり、ゼーゼー、ヒューヒューと胸から音を出しながら激しい咳き込みをする状態です。
アレルギーが関係していて、食物アレルギー、アトピー、鼻炎などがある人は無い人よりもリスクが高いです。
もっと分かりやすい例を言うと、何の症状もない普段から気管支で「小火(ぼや)」がおきていて、風邪や花粉アレルギーなどの油が入るといっきに大火事になって、気管支が焼け野原になってしまう状況です。
一旦、大火事になってしまうと火を消すのが大変になり、焼け野原から立ち直る過程でも様々な問題が生じます。そのため、普段から水をまいておく(内服や吸入)ことが重要なのです。

診断基準は確定したものは無く、

  • ゼーゼーした咳き込みがある
  • アレルギー歴、家族歴がある
  • 血液検査でアレルギー抗体価の上昇がある
  • 呼吸機能検査で閉塞性障害がある
  • 気道過敏性検査で過敏性の亢進がある

などの5項目を総合的にみて診断します。
ただし、乳児は(4)(5)の検査が難しいため、小児アレルギー学会のガイドラインでは「気道感染の有無にかかわらず、明らかな呼気性喘鳴を3エピソード以上繰り返した場合には、乳児喘息と診断する」としています。
つまり、1年間で3回以上ゼーゼーがあれば、喘息の可能性が高いということになります。

次に気管支喘息の「治療」について話をします。ですが、その前に「重症度分類」を行います。咳やゼーゼーが年に数回程度なら「間欠型」、1回/月~1回/週程度なら「軽症持続型」などに分類し、それぞれについて「治療ステップ」を決定します。
例えば、当院で一番人数の多い「軽症持続型」の場合、年齢にもよりますが、まずはオノン、キプレス、シングレアなどのロイコトリエン拮抗薬を3ヶ月間内服して、喘息コントロールが良好(ゼーゼーが無い、気管支拡張薬を使用していない、など)であれば治療内容を下げます(ステップダウン)。
また、逆の場合はステロイド吸入の追加など治療内容を上げます(ステップアップ)。
以上は普段日常での治療ですが、気管支喘息を持つ子が風邪をひくなどして急に呼吸状態が悪くなったときには追加の治療を行います。この場合もまずは喘息発作の重症度を判定し、その重症度に応じて気管支拡張薬の吸入や点滴治療を行います。咳が酷くて寝られない、呼吸すると胸や肋骨がペコペコへこむ、ぐったりして水分も摂れないなどの状態になれば入院も検討されます。
そして治療により気管支喘息の発作がおさまると、また普段日常の治療に戻るといった流れです。

気管支喘息は発症から早い時期に適切な治療・コントロールを行えば大人まで持ち越すことは少なく、ほとんどは小学校就学前に治療を終了できます。
必ずしも一生治療するわけではありません!
気管支喘息は診断に限らず治療についても各先生によって多少判断が分かれることがありますが、当院で詳しい話をお聞きになりたい方はいつでもお問い合わせください。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは、良くなったり悪くなったりを繰り返すかゆみのある湿疹のことです。もともとアレルギーを起こしやすい体質の人や、皮膚のバリア機能が弱い人に多く見られ、なかなか治らないこと(慢性)が特徴です。

日本皮膚科学会の定義によると

「増悪・寛解を繰り返す、痒みのある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」「アトピー素因とは、(1)家族歴・既往歴(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちのいずれか、あるいは複数の疾患)、または(2)IgE抗体を産生し易い素因」

と説明されています。

診断基準としては①掻痒(かゆみ)②湿疹病変と左右対称性③慢性・反復性経過(乳児では2カ月以上、その他では6カ月以上を慢性とする)を満たすものを症状の軽い、重いにかかわらずアトピー性皮膚炎と診断します。

2000~2002年に行われた厚生労働省による全国調査では有病率は4カ月児:12.8%、1歳6カ月児:9.8%、3歳児:13.2%、小学1年生:11.8%、小学6年生:10.6%、大学1年生:8.2%でした。乳幼児では発症後3∼5年以内に70~80%は軽快・治癒しますが、軽快しなかった場合は徐々に悪化することが多く、いったん軽快・治癒しても患者さんの30~50%は思春期以降に再発することがあります。

治療について

治療について、日本皮膚科学会のガイドラインでは炎症に対してはステロイド外用薬やタクロリムス軟膏(プロトピック)による外用療法、皮膚の機能異常に対しては保湿剤によるスキンケア、かゆみに対しては抗ヒスタミン・抗アレルギー薬内服の3つを基本としています。

日本アレルギー学会のガイドラインでは年齢や重症度に応じたステロイド外用薬の使い分けが示されており、重症度や年齢が低いほど、より弱いランクのステロイド外用薬を使うのが原則とされています。保湿はアトピー性皮膚炎の悪化を防ぐだけでなく、そもそも皮膚のバリア機能を高めておくことで経皮感作(皮膚についた物質からアレルギーを発症する)を防ぐなど、アトピー性皮膚炎ではない人にとっても大変重要です。内服薬はかゆいときに時々内服するのではなく、連続して内服する方がかゆみの抑制効果が高いことが分かっています。

アトピー性皮膚炎の治療は長期になることが多く、皮膚状態が良い時に治療し忘れたり、自己中断してしまうことが多々あります。そして、薬が効かないからと早い段階で強めの薬を求めてドクターショッピングされる方がいらっしゃるのも事実です。逆に、ステロイド治療は絶対にダメだというスタンスの方もいらっしゃいますが、乳幼児期にかゆみで十分に睡眠をとれない状況では成長ホルモンの分泌が不十分で全身的な成長発達に影響を与えてしまう可能性もあります。どんな治療薬でもそうですが、特にステロイド治療はメリット・デメリットを天秤にかけた上で見極めることが重要です。

食物アレルギー

食物アレルギーとは1.食べ物を食べる、時だけ起きる現象ではなく、2.皮膚につく3.気道から吸入する4.注射で体内に入る、など多くの経路によって湿疹、咳、嘔吐などのアレルギー症状を起こすことです。難しい言葉でいうと、日本小児アレルギー学会は「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」と定義しています。最近は「経皮膚感作」といって、食物が皮膚から体に入り込むほうが口から食べて取り込むよりもアレルギーを発症しやすいとの考え方があります。つまり、私たちの腸は食べ物に対してそれほど敵対せずに受け入れるのに対して(免疫寛容)、皮膚はもともと外界に対して固く門を閉ざしており、偶然、傷んだ皮膚に食べ物がついたりすると食べ物を敵とみなして記憶し、それ以降、その食べ物が体内へ入ってくると排除しようと体がアレルギー反応を起こすというシナリオが考えられています。

日本での食物アレルギー患者さんの数は推定で乳児期:10%、幼児期:5%、学童期:2%との報告があり、大人も学童期と同じくらいと考えられています。原因となる食べ物は、0歳は鶏卵が50~60%、牛乳・小麦と合わせて3品目で全体の80~90%となっています。1歳以降は鶏卵と牛乳の占める割合は減少しますが、学童期では鶏卵、牛乳の代わりに甲殻類(エビ、カニなど)、果物類が問題となります。特に気を付けてほしい食べ物は甲殻類、ソバ、ナッツ類です。これらは治りにくい上に症状が重いためです。具体的な症状は蕁麻疹などの皮膚症状が最も多く、呼吸器症状、粘膜症状、消化器症状など様々な症状を起こします。

診断は詳細な問診の後に血液検査や皮膚プリックテスト、経口負荷試験を行います。最近では「検査は補助的にとらえて食物負荷試験で症状が出た人に確実に対応する」と方向性が変わりつつあります。厳格な除去食を続けることによって逆に食物アレルギーが良くならないことが分かってきたからです。特別な例を除いて世界的に妊娠・授乳中でも抗原性の高い食べ物を普通に摂取するようになりました。除去食の基本は「本当に除去が必要な人に本当に必要なものを除去していく」ことで発育や生活の質を高めなければいけません。園や学校の給食で無用に制限を受ける子は生活の質が障害されるので、きちんと経口負荷試験を含めた検査を行い、実際に症状が出るかどうかを確かめて、出なければ食べてよいということを徹底することが重要です。ただし、経口負荷試験ではアナフィラキシーショックが起きる可能性があるため、試験を行える施設が限られています。そのため、血液検査でアレルギー抗体価が高い場合は一定期間摂取を控えて、半年~1年間隔での血液検査で抗体価が下がっているのを確認してから徐々に摂取して体を慣らしていくのが現実的です。

最近では保育園・幼稚園・学校で食物アレルギーに関する診断書提出が必要になることが多く、学校側がアレルギー患者さんのアレルギー食材を把握したり、症状出現時の対応を理解するために最低限必要なことです。当院でも診断書は発行できますので、いつでもご相談ください。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎とは抗原と抗体が鼻の粘膜で反応して、くしゃみ・鼻水・鼻づまりを起こす病気です。原因には花粉、ハウスダスト、カビ、動物の毛など多数あり、これらの抗原は息を吸うと鼻の中に入り、粘膜にある抗体と出会ってアレルギー反応を起こします。

ハウスダスト(ダニなど)による鼻炎患者さんは一年中鼻炎症状が続きますが(通年性アレルギー性鼻炎)、花粉症による鼻炎患者さんは花粉の季節に症状が出ることが多く(季節性アレルギー性鼻炎)、目のかゆみ(アレルギー性結膜炎)も持っている方も少なくないです。 現在、日本人の約25%が花粉症で、子どもの花粉症は年々増えており、5~9歳で13.7%、10~19歳で31.4%と大人の発症率とあまりかわりません(参考:鼻アレルギー診療ガイドライン)。

スギ花粉症は花粉が飛散する時期(1月下旬~4月)と風邪やインフルエンザが流行する時期とが重なるため判断が難しいです。ただ、熱はないのにくしゃみや鼻水が止まらない、目がかゆい場合は花粉症かもしれません。

子どもの花粉症はどう治療するのでしょうか?

花粉症の治療は基本的に大人も子どもも同じで飲み薬やステロイド点鼻薬などで対症療法的に治療します。根本的な治療としてはスギ花粉を薄めたエキスを定期的に内服・注射して体にスギ花粉に対して慣れてもらいアレルギー反応を抑えるというものがあります。効果が出てくるのは早くて1年後くらいで長期的な治療が必要です。

日常生活での対策としては

  • 花粉情報をチェック(注意日:晴れ・最高気温が高い・前日が雨)
  • 外出を控えめにする(午後1時~3時頃が飛散が多い)
  • 帰宅時の対応(衣服の花粉は外で払う、うがい)
などがあります。

 

また、腸内環境を良くすると風邪になりにくいばかりでなく、アレルギー体質も改善するという報告が世界中で出ています。テレビや雑誌などでよく「プロバイオティクス」という言葉が紹介されますが、ヨーグルトなどの良質な乳酸菌を摂取していると風邪予防+アレルギー体質改善だけでなく、「セロトニン」という「幸せホルモン」が腸から出やすくなり性格まで良くなる?との報告まであります。

当院ではアレルギー検査として36項目(食物、植物、動物など)を一括で検査できますが、1項目ずつ検査することもできます。スギ・ヒノキ花粉の飛散状況について各地域から山口県医師会へ報告があり、当院へも情報が届きますので、受診された際は飛散状況をお知らせいたします。

長引く咳

軽い風邪ならば多くは2週間以内に咳は落ち着いてきます。
しかし、子供は元々咳の反射が強いこと、まだ痰を上手に出せないなど、いろいろな原因で長引いてしまうのです。
まず、気道の炎症が強くなると、しばらくは気道が過敏な状態が続いてしまいます。
気道が過敏な状態が続く間(1ヶ月程度)はちょっとした刺激(冷たい空気、乾燥した空気、運動)などでもすぐに咳き込んでしまいます。
喘息を持っている子供の場合は、特にこの気道が過敏な状態を常に持っている可能性があり、長引きやすいです。
しかし、咳が長引くから喘息というわけではありません。
咳が長引く子の一部が軽い喘息を持っている可能性があるんです。
このような時は喘息の時に使うようなお薬を使うと、気道の過敏な状態を早くもとに戻す作用もあり、落ち着いてくることがあります。

次は、副鼻腔炎です。

鼻の奥は、目の下の空洞ともつながっており、とても広いんです。
その副鼻腔で炎症を起こし、膿が貯まると、蓄膿と呼ばれたりします。
副鼻腔炎の原因は風邪やアレルギーがほとんどですが、鼻の奥がグジュグジュしており、咳が長引く時には副鼻腔炎の可能性があります。
顔のレントゲン写真を撮り、診断することもあります。
治療は、抗アレルギー剤や、点鼻薬、マクロライド系抗生剤の少量投与を続けることなどがあります。

他にはマイコプラズマ感染症、クラミジア感染症(性感染症のクラミジアとは違います)も多く、咳が平均で30~45日続き、途中で微熱が続いたり、一部の人は高熱が出て肺炎をおこします。
この時はマクロライド系等の一部の抗生剤を使用することで症状が早く改善することがあります。

最近報告が増えているのが、百日咳です。
典型的な小さい子供の百日咳は特徴的な咳が出るのでわかりやすいのですが、ワクチンを摂取している人でも、百日咳が原因で咳が続く人が多いのでは?という論文がいくつか出ています。

それと、集団生活です。
特に乳幼児の保育園ですが、免疫が無い間の集団生活であり、常に風邪の菌やウイルスがいっぱいの環境にいると、風邪が治ってきたと思って登園すると、2~3日で再び咳、鼻水が出てきて、熱が出てきてしまいます。
これはある程度大きくなるまで仕方がないのですが、一部の子供たちは、2~3ヶ月は咳、鼻水が全然治らず、1ヶ月に2~3回熱を出してしまいます。
統計的には、このような子供の多くは小学校に上がってからはほとんど風邪を引かなくなる様です。
しばらくは我慢ですが、頑張りましょう。


比較的多い物を並べてみましたが、最初の咳が出始めた段階で全ての鑑別ができるわけではありません。
一般的な短期間の風邪なのかどうか、ひとつの見極めは2週間以上咳が続くかどうかです。
2週間以上長引く時にはいろいろな原因を考えて検査、治療を行います。
軽い咳でも長引く時は受診するようにしてください。

熱性けいれん

「熱性けいれん」って知っていますか?

生後3ヶ月から6歳までに38度以上の発熱を伴って生じる発作性疾患(けいれんなど)をいいます。

それでは、どれくらいの人たちがけいれんをおこすのでしょうか?
日本の頻度は多く、「約10人に1人」が小さいときにけいれんをおこしています。

男の子の方が多いのですが、繰り返すのは女の子の方が多いとも言われています。(2回目を繰り返すのは30%、3回以上繰り返すのは9%)
また、お父さん、お母さんどちらかが小さいときに熱性けいれんをおこしていた場合は20~30%、両親共におこしていた場合は40%以上の確率でおこすと言われています。
ほとんどのけいれんは10分以内ですが、中には30分以上継続するけいれん重積を認めることもあります。

それでは、けいれんをおこした時にはどうしたら良いのでしょうか?

1.あわてない!救急隊に連絡する!
これが一番大事なんです・・・でも、初めてけいれんを見たお父さん、お母さんであわてないでいられる方はいません。
病院へ運ばれてきた患者さんの御両親はたいていはパニックになっています。
昔は「ひきつけると舌をかんで死んでしまうから」と言って、口の中にタオルなどをつめていました。
でも、これは昔の迷信で、けいれんをおこして舌をかんで死ぬ子はいません。
それよりも、吐いてしまうことがあるので、口の中にタオルを入れると詰まって窒息してしまいます。
基本的にはけいれんを見たら早めに救急隊に連絡してください。
けいれん自体は数分以内に止まることが多いですが、様子を見ている最中に呼吸が止まる可能性もあります。救急隊が到着してけいれんが止まっていても、それはそれでいいのです。
2.吐きそうになったら体を横に向ける
吐いたときに上を向いていると窒息します。
吐いたものが流れる様に体と顔を横に向けてください。
3.見る!時間をはかる!
医療者がけいれんの患者さんを診るときに一番知りたいのは、けいれんが何分続いたかです。
そして、どんなけいれんだったのか「固まっていた」「ブルブルと全身を震わせていた」などの情報、そして、「目は左を向いていた」「目は上にあった」などの目の位置の情報も大切です。
時計を見ていないと、実際には1分のけいれんでもお父さん、お母さんには10分に思えたりします。
以上がけいれんをおこした時の最初の対処方法です。

次に、けいれん時の解熱剤使用についてです。
熱性けいれんは熱が急激に上昇するときに起きやすく、解熱剤で熱を上下させることはけいれんリスクを上げる可能性があります。ただし、熱性けいれんをおこすと今後解熱剤は使えないということではなく、ぐったりして水分が摂れない時などは使用してください。少し厳しい言い方をすると、解熱剤使用後に再度熱が上がってくる時のけいれんリスクと天秤にかけた上での解熱剤使用になります。

けいれん予防の座薬(ダイアップ座薬)使用後、30分間空ければ解熱剤座薬が使用可能です。
(一緒に使用すると吸収が悪くなるためです)
現段階では熱性痙攣を持っているお子さんに対する解熱剤に関しては一定の見解はありません。
もちろん、解熱剤は必ず必要な物では無いので、心配な時は使わないで経過をみて良いと思います。

熱性けいれん続き(けいれん予防について)

熱性痙攣の続編です。

現在、熱性痙攣の予防に対して使われている坐薬でダイアップ坐薬というお薬があります。
それでは、このお薬は誰が使うのでしょうか?
熱性痙攣を一度でも起こした事がある子供の場合には、熱が上がる度にまた痙攣をおこすのではないかと、みんな心配になってしまいます。

では、一度でも痙攣を起こした子供はみんな痙攣予防のお薬を使った方が良いのでしょうか?
熱性痙攣を1度でも起こした事がある子供の場合、半分の子供は生涯で1回のみで終わります。
残りの半分の子供は複数回熱性痙攣を起こすのです。
そうすると、1回痙攣を起こしたからといって、全員に痙攣予防のお薬を使うのは、半分の人には不要なものになってしまいます。

痙攣予防のお薬を使う基準としては、1回の痙攣でも時間が長かった場合、又は熱性痙攣を2回、3回と繰り返す場合が中心となります。家族歴によっては1回の痙攣が短くても予防を行う事もあります。

具体的な使い方としては、熱が37.5度以上になったらすぐに1回目の坐薬を使います。
その8時間後に発熱が続いていたらもう一度坐薬を使います。
(8時間後に下がっていても、9時間後に上がっている可能性もあり、私は必ず2回目も使ってもらっています)
そうすると、1回目のダイアップ坐薬を使用してから24~30時間程痙攣を予防する事ができるのです。
熱性痙攣の90%は熱が出始めて24時間以内に起こっているため、最初の24時間を予防する事で多くの痙攣を防ぐ事ができます。
ウイルスや細菌の種類によっては高熱が1週間以上続く事もありますが、この場合にも痙攣は最初の24時間がほとんどであり、最初を予防したら、後はダイアップ坐薬を使う必要はありません。

副作用として多いものは、眠くなったり、歩いていてもふらついてしまう事がよくあります。
ただ、1~2日もすれば症状は改善してきます。

それでは、痙攣予防のお薬を使う対象となった時は、いつまで使えば良いのでしょうか?
熱性痙攣は脳が発達してくると起こさなくなります。
したがって、小学校に上がるとほとんどの子供は熱性痙攣を起こさなくなるのです。
痙攣予防を中止する目安としては、最後の痙攣から2年間、痙攣を起こしていない、又は小学校へ上がる頃を目安に考えると良いでしょう。それまでは熱が出る度に痙攣予防のお薬を使ってもらいます。

ただ、中には熱性痙攣を5回、6回と繰り返す子供もいます。
それは、痙攣予防の坐薬が間に合わない時があるからです。
熱性痙攣を起こして、初めて熱が出ている事に気がつく事も少なくないのです。

また、熱性痙攣を繰り返している子供の中には、他の病気(てんかん等)が潜んでいる場合もあります。
熱性痙攣を3回以上繰り返す場合には脳波検査、脳のMRI検査、血液検査等で他に問題がないかどうか調べることも検討されますが、熱性痙攣は何回起こそうが検査自体行う意味がないとする見解もあります。

発熱時の対応

熱は何故出るの?解熱剤は使わない方がいいの?

まず、ウイルスや細菌が体の中に入ってくると免疫力が攻撃をしてくれます。その時に脳の中にある体温を調節してくれる部位を刺激し、体温が上昇します。
体温が上昇することで免疫を担当する細胞も活性化されるのです。それと同時に、ウイルスや細菌は体温を数度上昇させるだけで動きを低下させることができるのです。
したがって発熱は体を守るために大事なものなのです。解熱剤をたくさん使って熱を下げてばかりいるのはかえって逆効果になることもあります。40度程度の熱があっても脳はやられませんので安心してください。
解熱剤は風邪を治してくれる訳ではなく、一時的に熱を下げてくれるものです。したがって熱が高くなって、ぐったりとしているときのみ使う様にしましょう。
子供の場合には大人と比べるとすぐに高熱を出してしまいます。大人は38度を超えるとぐったりとしてきますが、子供は38.5度程度なら元気なことも多いのです。
子供の熱が高いから重症、低いから軽症というわけではありません。熱が高くても元気な子供もいっぱいいます。逆に微熱でもぐったりとしているときは注意が必要です。

熱が出たときは冷やした方がいい?あたためた方がいい?

まず、お子さんの手足を触ってみてください。冷たいですか?それともあたたかいですか?
冷たい時は悪寒(寒気がして体がブルブルと震える状態)が出る時で、熱も上がる途中です。
39度でもまだ冷たい時はもう少し熱も上がる可能性があります。
この時は体と手足を温めてあげてください。解熱剤もまだ使ってはいけません。
その状態からしばらく時間がたつと手足もあたたかくなり、体も熱くなっています。
そうすると熱も上がりきっていますので、今度は脇の下や足の付け根を冷やしてあげてください。
おでこに貼る市販の冷却剤は、解熱効果は脇の下等の冷却と比べると落ちますが、気持ちは良くなります。ただし、乳児のおでこに貼るときは注意が必要です。寝返りをするようになるとおでこに貼った物がずれて口と鼻をふさいでしまい、窒息死したお子さんもいます。気をつけてください。
また、解熱剤を使用するときは、熱が上がりきってから使う様にしましょう。水分をしっかり補給しておかないと汗もかけなくなり、熱が下がりにくくなります。発熱時にはこまめに水分を補給することを心がけてください。

RSウイルス感染症

冬になると流行する風邪のウイルスの一種ですが、母親からの抗体で防ぐことができず、乳幼児でも感染してしまいます。このウイルスは重症になることも多く、特に心臓の病気の一部や、未熟児の子供では重症となり生命にかかわることも出てきてしまいます。
ワクチンもありますが、冬の間に5~6ヶ月間毎月ワクチンを接種する必要があり、適応疾患が限られます(一般の人が自費で接種しようとすると数万~10万円くらいです)

まず、鼻水、咳が出始めて2~3日すると発熱、喘鳴も認められる様になります。
未熟児等が早期に感染すると無呼吸をおこし突然死となることがあります。
6ヶ月未満の子供は未熟児でなくても酸素投与が必要になり入院することもあります。
また、このウイルスが他の風邪と違うのは、細気管支という細い気管支の炎症が強くなり、喘息と同じような状態をひきおこしてしまうのです。
そして、治った後も数年にわたって喘鳴を繰り返しやすくなる後遺症(喘息のリスクが上がります)が出ることがあります。乳児期に感染すると、その後2~3年は要注意です。
ただ、RSウイルスで喘息と同じような状態を繰り返した子供は、元々のアレルギー体質などが無ければ数年で喘鳴が出なくなります。

ロタウイルス性腸炎(乳幼児冬期下痢症)

乳幼児冬期下痢症は、主にロタウイルスと呼ばれるウイルスによるおなかの風邪のことを言います。
以前は冬期に流行していたのですが、現在では春先に流行する事が多くなっています。
感染力は非常に強く、病室で一人ロタウイルス感染の患者さんが出てしまうと、同室の患者さんはほとんどが感染してしまいます。

症状としては、ノロウイルス等の胃腸炎とそれほど変わりは無く、初日に嘔吐を繰り返し、発熱も高熱が数日見られます。
そして、お米のとぎ汁のような白色の水様下痢が続く様になります。
便は酸っぱい臭いがきつく、独特な臭いがするためおむつをあけた時の臭いで診断がつくことも多いです。
多くの人は初日の嘔吐を乗り切ると大丈夫ですが、中には脱水症状が強くなり入院になることもあります。
そして、この病気の問題点は、痙攣を起こす事があるのです(他のウイルス性腸炎でもあるのですが、ロタウイルスは多いのです)
熱性痙攣とは違い、熱が無くても痙攣を起こす事があるのと、数日の間で何回も痙攣を繰り返したり、1回の痙攣がなかなか止まらないなど、大変な痙攣発作を引き起こしてしまうのです。

下痢をしていて、発熱も無く、痙攣を起こした時は要注意です!

以前から熱性痙攣を繰り返しており、今回も熱性痙攣かな?と思って家で様子を見ていてもなかなか止まらなかったり、繰り返す事も多いので、下痢をしているときの痙攣は必ず病院を受診してください。

家で突然嘔吐したときは、直後に水分を取らない様にしてください。
ある程度お腹の動きが戻ってからでないと飲んでもすぐに吐いてしまいます。
少し落ち着いてきたら、最初は少量の水分から取る様にしましょう。(スプーン等で始めてみると良いです)
その後は嘔吐が無ければ少しずつ量を増やす様にします。
水分としては吸収の良いお茶やイオン水が良いですよ。
初日の嘔吐が続く時は、固形物は取らない様にしてください。
2日目以降で吐き気が落ち着いていたら食事を再開しますが、脂肪分や糖分が多い食事は避けてください。
ロタウイルスの下痢も小さい子ほど長引きやすく、1歳前の乳児では2週間程、1歳~2歳で1~2週間、2歳以上で1週間程度でしょう。
2歳以下の子供で強い下痢止めを使う事はあまりありません。
下痢がなかなか治まらなく、心配になりますが、水分がしっかりと取れて、おしっこもきちんと出ていたら大丈夫です。
あっ、後は臀部皮膚炎が起こるので、おしりが真っ赤になっているときはお尻ふきでこすらないようにして、ぬるま湯で洗う様にしておいてください。

水ぼうそう

水ぼうそうは水痘帯状疱疹ウイルスによっておこる伝染病で、感染力は麻疹より弱いが、風疹、おたふく風邪よりは強いです。
家庭内で接触すると発症率は90%です。
潜伏期間は10~21日(多くは2週間後)です。
水をふくんだ発疹が全身に出てきますが、最初は頭から出始めることも多いです。
発疹は1週間以内に多くはかさぶたとなり、感染力も無くなります。
発熱は38度前後が2~3日と、比較的軽くて済みますが、中には高熱が続く人もいます。
合併症は1歳以下と15歳以上で急に多くなります。
また、小脳失調(バランスがとれなくなり、まず最初は歩くとふらつき、その後座ることもできなくなります)を認めることがあり、私は数人の小脳失調を見たことがありました。
治るのですが、しばらくフラフラの状態が続き、可哀想です。
治療方法は、石炭酸亜鉛化リニメント(カルボルチンクリニメント:カチリ)を水疱の上に塗ります。抗ウイルス剤としてアシクロビル(ACV):ゾビラックスを内服してもらうことがあります。

それでは、水ぼうそうのワクチンって必要なの?

周囲から小さいうちにかかってしまった方がいいよと言われる方がまだ多いんですが、それは軽くて済めばの話で、もし合併症が出たり、発疹もたくさんで痕がいっぱい残ってしまったらどうでしょうか?合併症が出たり、重症になって入院してしまったら・・・かかった方がいいよと言った方も、言われた方も辛くなってしまいます。
1回の接種での抗体獲得率は約92%です。
副反応としては、軽度の局所の発赤、腫脹(小児では19%、成人では24%)が主なものです。
水痘様発疹の出現は4~6%とされていますが、発疹の個数は5個程度で、全身性の副反応は稀です。
水痘ワクチンは、麻疹・風疹などのワクチンと異なり、ワクチン接種によって抗体が獲得されても、水痘ウイルスに暴露した時に発症することが10~20%程度ありえますが、この場合の水痘は極めて軽症で発疹の数も少なく、非典型的であることが殆どです。
また、接種後72時間以内のワクチン接種も効果が認められています。
他には、接種後8日目頃から1週間薬を内服して予防する方法もありますが、一時的な物です。
以前、アメリカで発表された物ですが、「水痘ワクチン接種は子供達の水痘を85%予防し、中等度から重症の水痘に関しては97%予防することが可能であった。」と述べています。
また最近では、高齢者に対する帯状疱疹の予防として、水痘ワクチンを接種する試みが海外および国内でも始まっており、今後の結果が期待されています。

おねしょ:夜尿症

今日のお話は「おねしょ、夜尿症」についてです。

みなさん、小さい頃におねしょをして怒られた記憶はありませんか?
また、おねしょをした子供を怒ってはいませんか?
それでは、何故おねしょをするのでしょうか?

おねしょは夜間に作られるおしっこの量と、膀胱に貯められるおしっこの量のバランスが悪いと起こります。
大きく分けて3つのタイプに分かれます。
ひとつめは夜間に作られるおしっこの量が多いタイプです。
ふたつめは膀胱にためることができるおしっこの量が少ないタイプ。
そして、みっつめはその両方が合わさったタイプです。

脳の中には下垂体という小さな場所があり、そこからたくさんのホルモンが分泌されます。
その中の一つに抗利尿ホルモンというホルモンがあり、これはおしっこを作るのを抑える働きがあります。
人の体は成長の過程で睡眠のリズムが完成され、夜間はたくさんの抗利尿ホルモンが作られる様になるのです。
大きくなって抗利尿ホルモンがしっかりと分泌されるようになると夜間のおしっこの量が減って、おねしょが無くなるのです。

しかし、この抗利尿ホルモンの分泌がまだ少なければ夜間に作られるおしっこの量が多いためおねしょがおこりやすくなってしまいます。おねしょのタイプで夜間に作られるおしっこの量が多い人は、抗利尿ホルモンの分泌がまだ少ないと思ってください。

次に、膀胱も成長の過程で機能が発達して、貯められるおしっこの量も多くなってきます。
この膀胱がおしっこを貯められる量がまだ少なければ、夜間に作られるおしっこの量が少なくてもおねしょがおこってしまいます。
さて、ここまで書いた所で考えてみましょう。
おねしょは怒って治るものでしょうか?

違いますね。
体が成長しないと治らないのです。
体は怒っても成長しません。

それでは、何歳まで様子をみれば良いのでしょうか?
おねしょの相談を受ける時に多い年齢としては9歳、10歳頃が多くなります。
それは、4年生から学校の宿泊学習があるためです。

おねしょ対策が必要な目安を書いてみますね。
毎晩2回以上おねしょがある場合も小学校1年生までは様子をみて大丈夫です。
朝方に1回のみで毎晩ならば小学校3年生までは生活の改善のみで大丈夫です
1週間で時々ならば、小学校4年生頃までは生活の改善のみで大丈夫です。
それ以上ならば小児科を受診して原因を見つける様にしてみましょう。

さて、ここからはおねしょ対策についてです。
まず、抗利尿ホルモンが少ないタイプ、膀胱の機能がまだ未熟なタイプ、全てに必要なのは生活の改善です。

1.夜は起こさない!これは大事なことです。
夜間におしっこをしないようにと起こしてしまうと、抗利尿ホルモンの分泌が更に妨げられてしまうのです。
脳からのホルモン分泌のリズムが狂うと余計治りにくくなってしまいます。
2.怒らない!
さきほども言いましたが、おねしょは体の問題が大きいのです。
それを怒ってはいけませんね。
おねしょは、本人が一番気にしていて、傷ついている事が多いのです。
お父さん、お母さんは守ってあげてくださいね。
3.水分は少なめに!
これは、一日を通して少なくする必要はありません。
ただ、夕方から寝るまでの水分量は少なくした方が良いです。
もし、就寝が9時ならば、夕食は6時には取るようにしてください。
夕食である程度の水分が入ってきます。
その時に水分を多く取ったり、夕食の時間が遅くなっても睡眠中のおしっこの量がおおくなってしまいます。
また、夕食は塩分も控えめにしましょう。
そしてお風呂から上がった後も水分は最小限に、できたらコップ半分程度がベストですね。
それから、牛乳の取り過ぎも良くはありません。
カルシウムを取るためにと、毎日牛乳を500ml以上飲むのは、帰って乳脂肪分も多くなり、ホルモンの分泌も妨げられてしまいます

ここまでが、一般的な生活の改善となります。

次に、自分の子供はどのタイプになるのでしょうか?
外来を受診していただき、相談を受けた時は、まずはしばらくおねしょ日記をつけてもらいます。

おねしょ日記に記録するものは

  • 夜間のおねしょの量(おむつの重さで測ります)
  • 朝起きてすぐにトイレへ行って、その時に出たおしっこの量
  • 夕食後の水分の量
  • がまん尿の量(日中におしっこをがまんして、どれだけおしっこを貯められるか見てみるのですが、小さい子は難しく、大きい子に時々つけてもらいます)

経過によってはおねしょをいつ頃していそうかもつけてもらいます。
以上の記録を日記帳(専用のものがあり、お渡ししています)につけてもらい、その結果を元にどのタイプかを判断します。

そして、治療が必要な時には、血液検査、脳のMRIの検査、夜間のおしっこの検査(家庭で2~3日夜間に一時的に起こしてもらって尿を取って来てもらいます)などを行います。

そして、最後に薬を使った治療についてお話をします。

まず、おねしょに対して使われるお薬は大きく分けて4種類あります。

⒈三環系抗うつ薬
これはうつ病に対して使われるお薬ですが、抗利尿ホルモンの分泌を多くする作用があり、また、膀胱機能も改善する働きもあるため、夜間の尿量が多い場合、混合型の両方で使われます。
うつ病では無い子供に使っても、少ない量を使うため心配はいりません。
⒉抗利尿ホルモン薬
これは人工的に作られた抗利尿ホルモンです。
内服と点鼻薬があり、寝る前に使用するとおしっこを作る量が少なくなります。
ただ、水分を取る量をしっかりと少なくしないと体の水分が多くなりすぎてしまいます。
⒊尿失禁治療薬
これは成人の尿失禁で使われるお薬ですが、膀胱の機能を改善してくれるため、膀胱の機能が未熟なタイプに効果があります。
⒋漢方薬
即効性は無く、程度が軽いタイプには効果があります。

生活の改善で効果が見られない時、おねしょ日記から抗利尿ホルモンの分泌や膀胱の機能に問題があると考えられるときはお薬を使っていきます。
ただ、おねしょのコントロールをする時は夏に行う事をお勧めします。
それは、夏は体が脱水傾向になることが多く、コントロールしやすい事、そして、冬場は寒いとおしっこが近くなってしまうためです。したがって、夏場でも手足が冷たくなってしまう程エアコンをつけてしまっては駄目なのです。
夏場にコントロールが良くなっても、冬になると逆戻りすることがありますが、夏にコントロールできた子供は、冬に逆戻りしてもすぐに落ち着いてきます。
夏にコントロールできたら後少しです。

おねしょって、本人も、お父さん、お母さんも誰にも相談できないでいることが多いんです。
恥ずかしがらないでください。
おねしょは体の問題がほとんどなんです。
学校の宿泊学習も安心して参加できます。
もし、宿泊学習の頃におねしょのコントロールができていなくても、対策方法はあります。
多くの学校では、予め先生に伝えておけば、その時だけは夜間に一度おこしてもらっておしっこに行くようにしましょう。
そして、それまでに一番効いたお薬を持っていくと良いです。
おねしょパンツと外見からはわからない下着もあります。
家族だけで悩んでいないで、是非相談してください。
(本人が受診を嫌がる時は、検査等が必要になるまではお父さんやお母さんだけでも大丈夫です)

放射線被曝

今日は放射線被曝についてお話をします。

「放射線」と聞いて皆さんはまず何を思い浮かべるでしょうか?原爆、原子力発電所、レントゲン写真、CTなどでしょうか。それでは、実際にみなさんは年間にどれほどの放射線を浴びているのでしょうか。

自然界でも放射線は浴びています。
場所によっても異なり、標高の高い富士山の山頂では平地の3倍程の放射線量になります。普通に生活していると、一年間で2.4mSv(シーベルト:放射線量の単位です)程度です。

それでは、胸部レントゲン写真はどれくらいでしょうか?
胸部レントゲン写真1回で0.1~0.2mSv
腹部レントゲン写真1回で1~2mSv
です。

放射線量の多いCTでどれくらいでしょうか?
胸部CT1回で10~20mSv
です。

CTの撮り方に寄ってはもっと少なくもなりますが、レントゲン写真と比べると多いですね。そして全身のCTならばもっと多くなります。
他に、胃のバリウム造影検査では10~20mSvとCTとほとんど差がないのです。
同じレントゲン写真でも、撮る部位、そして機器によっても被曝量は異なります。
レントゲン写真の機械も良い物が増えてきて、デジタルのレントゲンでは被曝量が10分の1程度に抑えられる物も出てきました。

それでは、放射線を浴びると体に影響があるのか、そして実際にどれほど浴びると影響が出るのかについてお話をします。

妊娠初期の女性が骨盤部位に100mSvを超える被曝があると胎児の器官形成に影響がでる可能性があります。
200mSvを超えると、発癌の危険性が出てきます。
一度に1000mSvを超えると吐き気などが出てきます。
また、男性の腰、女性の腰に1回で2500mSv以上の被曝量があると不妊症の原因になる可能性が出てきます。
原爆での放射線被曝量は平均で3000mSvですが、4000mSvを超えるとほとんどの人が死亡してしまい、東海村臨界事故では20000mSvと、6000mSvの被曝量があった二人が死亡してしまいました。

ここまでの文章を読まれて、「レントゲンの被曝ってこんなものなんだ」と感じるか、それとも「レントゲン1回でこんなに被曝量があるの!」と感じるのか、どちらでしょうか?
きっと私のこれまでの被曝量はものすごい量になっていると思います・・・
小さい子の場合にはどうしても動いてしまうので、緊急時には起きている子供と一緒にCTに入らなくてはいけないんです。
もちろん防護服を着ますが、全部隠れる訳ではありません。
レントゲン写真、CTと、病気を発見するためには大切な検査です。
しかし、その反面放射線被曝があることも常に考えながら診察する必要があります。
もちろん、レントゲン写真を撮ったからといって、すぐに発癌と結びつける必要はありませんので、肺炎、副鼻腔炎などで検査を受けられる方は安心してください。